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クイーンよりもクラプトンに泣かされた。映画「エリック・クラプトン 12小説の人生」感想

映画「エリック・クラプトン 12小説の人生」を観てきた。結論から言うと素晴らしいドキュメンタリーだった。ぶっちゃけ「ボヘミアン・ラプソディ」より泣けた。

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 平日で初回にも関わらずまあまあの客入りだった。ちなみに客層は自分も含めてオジサンとオバサンばかり。若い人は見当たらない。上映時間が2時間15分という長丁場に大人用オムツの着用を一瞬考えたが、そんなのロックじゃない!と思いすぐに打ち消した。

映画は基本的にクラブトンの幼い頃から時系列に沿って進んでいく。前半は幼い頃から少年期までのクラプトンの様子、母親との複雑な関係、ヤードバーズへの加入・脱退、ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズへの参加、クリームの結成・解散、ブラインド・フェイス結成といった内容で、この辺は昔からのオールドロックファンなら大体知っている話。

個人的にはクラプトンが書いた絵が上手くて驚いた。さすがアートスクール出身。普通にイラストレーターになれるレベル。あと、当時のイギリスのブルース・シーンが形成されていく様子も面白かった。

当然、クラプトンと所縁の深いジミ・ヘンドリックスジョージ・ハリソンマディ・ウォーターズB.B.キングといったレジェンドたちもいっぱい出てくる。その中でもボブ・ディランが登場してくる演出がとても良かった。思わずニヤリとしてしまった。

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後半はやはり絶対外せないエピソード、ジョージの妻であるパティとの不倫話。これもあまりにも有名な話なので、今更な感はあるが実際にスクリーンでクラプトンの口から語られると感慨深いものがあった。

名曲「いとしのレイラ」のレイラという名前に込められた意味、デレク&ザ・ドミノスとしてアルバムを制作していく課程、デュアン・オールマンの参加、そしてクラプトンがダメになっていく様子が描かれていく。

映画「ボヘミアン・ラプソディ」でもフレディのダメな部分が描かれていたが、こちらはドキュメンタリーなのでよりリアルに伝わってくる。明らかにラリっている様子のクラプトン。酔っぱらってステージに上がり客とケンカするクラプトン。鼻からクスリを吸引するクラプトン。映画はこれでもかという位にダメな部分を見せていく。

そんなクラプトンも息子コナーの誕生で立ち直る兆しを見せるのだが、その最愛の息子が4歳の時に事故死してしまう。そこで誕生した曲が「ティアーズ・イン・ヘブン」というこのあまりにも有名な悲劇。

映画では息子を亡くした後、曲が完成するまでの心境をクラプトン自らが語り、実際にギター一本で演奏するというシーンがある。ここで思わず泣いてしまった。今、思い出しながら書いていても泣けてくる。あまり書くとネタバレになるので控えるが手紙にやられた。

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そして映画は終盤に差し掛かりクラプトンの現在の様子が描かれる。そこには波乱万丈な人生を「生き抜いて」きたロックスターの面影は全くなく、愛する妻や子供たちと楽しそうに遊ぶ優しそうなおじいちゃんの姿が。その様子を見てまた自然と涙が出てくる。

映画の最後にはB.B.キングがステージ上から「遺言」としてクラプトンにメッセージを送る。その内容がとても素敵なメッセージで感動的だった。

という訳でクイーンもいいけど、この映画も面白いんで機会があったらぜひどうぞ。

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