一発屋バンドの素晴らしき世界 ① The Knack
先日、アマゾンでこんなCDを目にした。
商品の説明欄には「洋楽の過去の一発大ヒット曲を集めた企画アルバム」とある。
ウィキペディアによると
一発屋(いっぱつや)とは、大舞台で一時的にのみ活躍を見せた歌手、映画監督、芸人、作家、スポーツ選手等を侮蔑した呼称表現である。
となっている。
姉さん、事件です!自分の好きなバンドが「侮辱した呼称表現」で世間に認知されています!
これは黙って見過ごす訳にはいかない。私がやらねば誰がやる。という訳で世間では一発屋と呼ばれているバンドがいかに素晴らしいかをこれから書いていこうと思う。
それでは早速、愛すべき一発屋バンドを紹介していこう。記念すべき第一回目はこのバンド。
デビューは1979年。アメリカ・カリフォルニア州出身の4人組。
ちなみにGoogleで「ザ・ナック」と入力すると、自動的に「ザ・ナック 一発屋」というキーワードが出てくるくらい世間には一発屋として認知されてしまっている。悲しい。
確かに「マイ・シャローナ」1曲だけがあまりにもバカ売れしたから、世間的に一発屋のレッテルを貼られても仕方がないのかも知れない。
しかし、私は声を大して言いたい。The Knackは決して一発屋なんかじゃない。ファーストアルバム「GET THE NACK」には他にもいい曲がたくさん入っている。1曲目の「Let Me Out」からラストの「Frustrated」まで全曲捨て曲なし、これぞパワーポップのお手本ともいうべきアルバムなのだ。
代名詞とも言える「マイ・シャローナ」に関しては最初の「デデデデデッデ、デッデ、デデデ」のインパクトがあまりにも強烈なので、ほとんどの人は後半の部分をちゃんと聴いていないか、もしくは印象が薄いかも知れない。
しかし、この曲の良さは実は後半の展開にある。初めて聴いた人はそれまで小気味良いリフで引っ張ってきた曲が、急に新たな展開に突入するので多少戸惑うかも知れない。
曲の後半のインスト部分。ツボを押さえたギターソロが聴いていて気持ち良い。これが曲が進むにつれ徐々にスピード感が増していく。そしてバンド全体の音が一丸となり高揚感に包まれたところで、またメインリフの「デデデデデッデ、デッデ、デデデ」に戻っていくという構成。素晴らしい。
佳曲揃いのファーストアルバムの中で、やはりこの曲だけ頭一つ抜けている印象。最強のリフに加えて後半の意外な展開で最後まで飽きさせない。そら売れるわ。
あと、トム・ハンクスの初監督作品「すべてをあなたに」で使用された「That Thing You Do!」という曲。これをThe Knackがカバーしているんだけど、全然違和感なくて、自分たちのオリジナルなんじゃないかっていう位にハマってて個人的におススメ。
とにかく「マイ・シャローナ」しか知らないという人は、ぜひアルバムを聴いてみて欲しい。キャッチーでポップな楽曲ばかりなので、きっと気に入ってもらえると思う。
ただ一つ残念なのはリードボーカル&ギターのDoug Fiegerが2010年に亡くなっているので、もうThe Knackの新譜は一生聴けないということだ。